対人関係

あがり症を克服する根本的な取り組み方はビリーフから自由になること

「あがり症」を克服したい人はたくさんいる

人前に出ると思わず顔が赤くなってしまう、
心臓がドキドキしてしまう、手足が震えてしまう、
汗が噴き出してくる、言葉がしどろもどろになってしまう、
頭が真っ白になってしまうといった、いわゆる「あがり症」。

日本人の8~9割以上の人が人前で緊張すると言われていますが、
人前に出る経験はそれほどないので、
実際には、そのままでも多くの人は生きていくことができます。

しかし、「人前で話をしなければならなくなった!」
「演奏や試合の本番で力が出せないと困る!」
「人と話せない人生のままで終わりたくない!」
といった理由がある人にとっては、単に緊張するだけならまだ良いのですが、
あがり症となってしまうと切実な問題です。

そこで、今回は、あがり症が起こる背景の解説も含めて、
あがり症の克服のしかたについてご紹介していきます。
「人前であがらずに話ができるになりたい!」
「あがり症を克服して、演奏や試合で力を発揮できるようになりたい!」
という方に是非お伝えしたい内容です。

あがり症は自分の身を守るための自然な反応

あがり症というとネガティブなイメージが先行してしまいますが、
そもそも「あがり症」というのは、危険から身を守るための自然な反応です。

例えば、人前に出たときに、反射的に身の危険を察知して体が緊張するのです。
これは実際に危険があったかどうかの問題に関わらずです。

では何が問題なのかというと、実際には危険がないはずなのに
反射的に危険だと認識してしまうことで、話したいのに話せない、
演奏したいのに演奏できないことが問題になるのですね。

本当は危険じゃないんだよと実感することがシンプルな解決への道

だから本当は危険じゃないんだよということを実感することで、
あがり症を克服していくことがシンプルな解決の道になります。

そのための対処法として一般的に紹介されているのが下記のような方法です。

対処法1:場慣れすること

1つめは、経験を積み重ねることで場慣れすることです。

自分の慣れ親しんだパターンを超えた未知の体験には恐れを抱く傾向があります。
例えば、誰もが日常的に人前に立つわけではありません。
先生が毎日教団の前で緊張することはありませんが、生徒が教団に立つと緊張しますよね。

人前に出る場面を何度も経験することで、場に慣れていき緊張も和らいでいきます。
できるだけ本番を経験することが望ましいですが、
難しければ本番に近い状況を作り出して模擬練習をします。

対処法2:事前準備や練習をすること

2つめは、準備や練習をきちんと行うことで本番に備えることです。

数少ない場面にも関わらず、ぶっつけ本番でやろうとすると
自信のなさや不安が増していきます。
緊張で呼吸は浅くなり、声はうわずって、
焦りから早口になり、言葉がはっきり出てこなくなります。
さらに話す内容も考えながら話さなければならないので大変です。

だから、事前に練習して、腹式呼吸を身につけ、
お腹から声を出し、意識的にゆっくりと抑揚をつけて話すようにして、
一語一語がはっきりと聞き取れるようにしておきます。
話の内容も構成を箇条書きにするなどして、
話のポイントを抑えるようにしておくことで準備しておきます。

対処法3:意識を変える取り組みをすること

3つめは、聞き手の反応に敏感になっている意識を変えることです。

相手が自分を見ていることに対して必要以上に敏感になってしまうと、
「失敗したらどうしよう」「反応がよくなかったらどうしよう」
などと良からぬことを考えて緊張してしまいます。

そこで、意識を相手から逸らして別のものに注意を向けたり、
物事をポジティブに考えたりすることで、
相手の反応に敏感になっていることから意識的に距離をおきます。

こういった対処法を積み重ねていくことで認識を変えていければ、
本番であがることも軽減されていきます。

そして、これから紹介することを合わせて実践すると更に効果的です。
もし、上記の対処法を実践しているのに本番であがってしまうのであれば、
先に下記に紹介する方法を実践することをお勧めします。

根本的な原因である「ビリーフ」に取り組む

「あがり症」というのは、危険から身を守るための自然な反応だと言いましたが、
その反応の背後には「危険だ」と信じている考えが隠れています。

人前で話すときに
「みんなに聞いてもらえるように、ちゃんと話をしなければならない。」
「みんなは、私の話を快く思わない。」
「みんなをガッカリさせたら、もう私は必要とされない。」
といった考えを、どこかで信じています。

こういったストレスを生む考えを「ビリーフ」と呼んでいます。
このビリーフによって人前で話すことを危険だと察知し、
その反応として身体の緊張が生まれます。

ビリーフを信じ続けている限り、あがり症が根本的に治ることはありません。
そこで、原因であるビリーフに直接取り組むことで、
緊張を生む考えから自分を解放していきましょう。

(ビリーフについて詳しくは下記の記事で紹介しています)

ちなみに、このビリーフに取り組む方法は考えを変えるためのものではありません。
また、考えをなくしたり、手放したりするものでもありません。

もし、これまで考えを変えようとしたり、
考えを手放そうとしたりして上手くいかなかったのであれば、
この方法はお勧めできます。

この方法は、考えに問いかけをすることで考えを理解し、
そして自分にとっての真実の答えを探求するものです。

効果を実感したときにわかるのですが、
考えを手放すのではなく、考えが自分を手放すような感じで
自然とストレスから自分が離れていきます。
(ビリーフに取り組む具体的なやり方については下記の記事で紹介しています)

失敗する理由をリストアップしよう

ビリーフやワークについて理解したら、
まず失敗する理由をリストアップしていきます。

これまでの経験上あがってしまった時の事でもいいですし、
これから人前に出ることを想像してもかまいません。
自分が人前で話す上で失敗する理由を紙に書き出していってください。
例えば、このような感じです。

「私は人前に出て失敗する。(あがってしまう)なぜなら、●●●から。」
というように●●の部分について書いていきます。

書くときのポイントとしては、あがってしまったときの状況を
できるだけ具体的に思い出す(あるいはイメージする)ようにします。
(いつ、どこで、誰がいて、何をしている場面か)

人前で自己紹介をするときに、あがってしまう男性のワーク

事例として、人前で自己紹介をするときに
あがってしまう男性の例はこのような感じです。

  • 「皆が私に注目している。」
  • 「この人たちに何を言ったら適切なのか、私にはわからない。」
  • 「ちゃんと自己紹介ができないと、皆は私を嘲笑う。(あざわらう)」
  • 「皆は私の話で不機嫌になる(かもしれない)。」
  • 「人は、ありのままの私を受け入れてくれない。」

私たちは、普段このような考え(ビリーフ)を無くそうとしてトレーニングをしたり、
ポジティブに考えて意識を変えようとしたりしています。

しかし、ここでは「信じているビリーフは、そもそも本当なのだろうか?」
と探求していきます。
ビリーフが本当ではないとわかったとき、
感じていたストレスが軽くなって我に帰り、
あがっていた状態も自然と落ち着いてきます。

テーマ「彼らに何を言ったら適切なのか、私にはわからない。」

それでは、人前で自己紹介をするときに
あがってしまう男性のワークの事例を紹介します。

ーーーそれでは、ワークに取り組む文章を読んでください。

「私はワークショップの参加者たちに対して恐れている。
なぜなら、彼らに何を言ったら適切なのか、私にはわからないから。」
(ここでワークショップの参加者という形で具体化しています)

ーーー「彼らに何を言ったら適切なのか、私にはわからない。」それは本当でしょうか?

「はい。」

ーーー「彼らに何を言ったら適切なのか、私にはわからない。」その考えが本当であると絶対に言い切れますか?

「いいえ。」

「自己紹介でワークショップに参加した動機について話すんですけど、
他の人が喜んだり、ちょっと笑わせて和んだりするネタは何だろうと考えてしまうんです。」

「けどまぁ、周りの人にとってみれば、
他の人はどんな動機で参加してるんだろうって知りたいですから、
話を変に逸らすよりも正直に話してもいいのかなって思ったので、いいえです。」

ーーー「彼らに何を言ったら適切なのか、私にはわからない。」という考えを信じるとき、どのように反応しますか?

「緊張します。顔や耳が赤くなって胸がドキドキします。
頭の中で話すことを必死に組み立ててるんですが、
結局自分でも何を言っているのかわからない状態です。」

「気持ちは不安で、自分がここにいることが場違いに思われたり、
正直な気持ちを話して受け入れられたりしなかったら
どうしようって怖さも感じています。

価値がある事を言えなくて、
周りから注目されないのが嫌だという意識もあります。

孤立したくないっていう気持ちもあります。
周りと自分の間に壁を作ってしまっている感じがして、
うまく関われない気がしています。」

ーーー「彼らに何を言ったら適切なのか、私にはわからない。」という考えは、あなたにとってストレスですか?それとも平和につながりますか?

「ストレスです。」

ーーー「彼らに何を言ったら適切なのか、私にはわからない。」という考えがなければ、どうなりますか?

「肩が楽になります。呼吸も深くなって、目の前が明るくなります。
素直に思っていることを話せる気がします。

「周りの人も私と同じような目的で来ているので親しみを感じられるようになります。
私も自分のことを話すのは恥ずかしいし、周りの人も恥ずかしいので、みんな一緒かなと思います。」

「うまいこと言わなきゃって思ってたんですけど、考えがなければ、
やってきたことや感じたことを、ありのまま伝えればいいかなと。
相手に何を言えばいいのか考えていたけど、
本当は自分をさらけ出すのが怖かったんだと気づきました。

ーーーそれでは文章を置き換えて、元の文章と同じくらい、あるいはそれ以上に真実味を感じられる事例や理由を探求してみてください。

置き換え文①「彼らに何を言ったら適切なのか、私にはわかる。」

「周りの参加者も私と同じように、このワークショップにどんな動機で参加しているのか、
どんな悩みや解決したい課題があって参加しているのか知りたいから、
自分の悩みや課題を正直に話すことが相手も知りたいことだと思います。

「自分があがって話していたら、『あ、この人はあがっているんだな。
それが悩みなんだな。』と適切に伝わる。(笑)」

「こちらで何が適切なのかをコントロールするものではないなと思いました。
結局、相手の受け取り方は人それぞれ違っているわけで、
相手次第だと思えば自分がどうこうする必要はないです
。」

置き換え文②「私に何を言ったら適切なのか、私にはわからない。」

「なぜなら、私は頭の中が混乱していたから。
正直に話すことよりも相手のニーズを汲み取ることに意識が向いてしまっていたので。
相手のニーズを聞かないまま汲み取るなんて難易度高いですよね。」

「私が自分に何か言葉をかけるのではなくて、何も言わずに深呼吸してほしいですね。
呼吸が浅くなっている自分に気づいた方がいいです。」

「自分が思ったとおり話せることって、あまりないんです。
自分でも思わず言ってしまったことを後から振り返って、
『私ってこんなこと思ってたんだ』と驚くことがあります。
自分でも自分のことってよくわからないですね。
なんだかミステリアスな自分に興味を持ったり、
そんな自分を楽しんだりしてもいいのかなって思いました。」

相手を意識して自分を見失っていた

自分の信じていた考えが本当ではないと気づくと、
頭がクリアになって気持ちも落ち着き、体もリラックスしてきます。
現実を見る視野も広がって、現実の新しい側面や
自分の可能性が感じられるようになります。

男性の事例では、相手にどう受け入れられるかを意識していたことで、
自分を見失っていたことに気づきました。

そもそも自己紹介は自分について話す機会なのだから、
「背伸びせずに素直に自分のことを話せばいい」
「あがっているのも自己紹介の一部のようなもの」
とワークを通じて自ら気づきました。

自分の考えに問いかけて、ストレスから解放される真実に気づくと、
今まで問題だと思っていたことが問題ではなくなります。

物事を見る視野が広がり、気持ちに余裕が生まれると、
「じゃあ実際にどうしたら相手に伝わる話ができるのか」
「どこを直せばより良くなるのか」と客観的に対処することができるようになりますね。

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